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米EMCが発表したプラグ・アンド・プレイOpenStack、「Neutrino Nodes OpenStack版」とはボタン一発でバージョンアップ

米EMCは2016年5月3日(米国時間)、ターンキーOpenStack環境製品の「VCE VxRack System 1000 with Neutrino Nodes with support for OpenStack」を発表した。構築・運用は大幅に自動化されていて、OpenStack運用のノウハウがゼロでも使えることを目指しているという。

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 米EMCは2016年5月3日(米国時間)、同社の大規模環境向けハイパーコンバージドインフラ製品「VCE VxRack」で、OpenStack環境を運用負荷ほぼゼロで使えるサーバ製品「VCE VxRack System 1000 with Neutrino Nodes(ニュートリノ ノード) with support for OpenStack」(本記事では「Neutrino Node OpenStack版」と表現する)を、第3四半期に提供開始すると発表した。一般企業における開発・テストを中心とした「クラウドネイティブ」な用途に向けた製品だ。本記事ではこれを紹介する。

 Neutrino Nodes OpenStack版は、ソフトウェア開発チームなどが、OpenStackの複雑さをほぼ意識せず、利用に徹することができるようにしたターンキーOpenStack製品。ある程度小さく始めてニーズに応じて拡張できるというOpenStackのメリットを生かせるように、拡張、ソフトウェアアップデートのプロセスは完全に自動化されている。

 拡張は、新規ノードをネットワーク接続することで管理ツールに表示され、これを選択するだけで作業が完了する。当初は4ラックまでの拡張に対応する。

 OpenStackの新規リリースへのバージョンアップは、管理ツール上のボタンを押すだけで行えるrという。ボタンが押されると、自動的にEMCのサイトから同社のパッケージした新リリースをダウンロードし、サービスモジュールごとに一インスタンスずつ停止してアップデート、再立ち上げする作業を繰り返す。各サービスモジュールは複数のインスタンスがNeutrino Nodes OpenStack版の環境をインターネットに接続していない場合は、いったん他のコンピュータにアップデートパッケージをダウンロードした後に、これを自動適用する設定も可能。

 管理ツールではアラート(警告)表示にも工夫が加えられていえる。OpenStack運用では、多数のアラートに悩まされることがあるが、同ツールではノードの増強など、管理者の判断が必要なもののみを表示、技術的対応を要するものについては、EMCのサポート窓口に連絡するよう促す仕組みになっている。

商用ディストリビューションは使わない

 EMCはNeutrino Nodes OpenStack版の提供に当たり、他社の商用ディストリビューションを使うことはしていない。コミュニティ版のOpenStackを採用、安定運用に適したソフトウェアコンポーネントを検証、取捨選択して搭載する。発売当初に提供するOpenStackリリースはKilo。2016年中にはMitakaを提供し、その後は常に1リリース後れの状態をキープしたいという。

 そして、オープンソースの自動構成ツールを活用し、大幅な自動化を実現している。ローレベルのベアメタルサーバ・プロビジョニングには、EMCが主導するオープンソースプロジェクト、Rack HDのコードを用いている。

 これに、同社のソフトウェアストレージ製品「EMC ScaleIO」「EMC ECS」を組み合わせ、全てをインストール・設定した状態で顧客に届ける。ストレージ以外でNeutrino Nodes OpenStack版が搭載している独自ツールは、運用管理ツールのみだ。

 Neutrino Nodes OpenStack版には、構成要素としてトップオブラック・スイッチも含まれている。VCEではVblock、VxRackのネットワークについて、シスコシステムズのNexusスイッチを全面的に採用している(VxRailはネットワークを構成要素に含まない)。Neutrino Nodes OpenStack版でも、公式にはシスコ製品を採用するとしている。だが、他社スイッチも追加選択肢として提供することを検討しているという情報もある。

 Neutrino Nodes OpenStack版では、管理専用ノードとして3台のノードを使う。OpenStackの機能モジュールはコンテナ上で動作する。機能ごとに常時複数のモジュールが動作し、負荷分散を通じてサービスが提供される。この仕組みにより、可用性向上、リソース不足の回避、バージョンアップおよびバグフィックス適用の容易さといったメリットが得られているという。

 最小構成は、上記の管理ノード3台、および仮想化環境用ノード5台の、計8台。3台の管理ノードで、最大4ラックまでの構成に対応できるという。それ以上の拡張は、管理ノードを3台単位で増やすことで可能になる。

開発環境までを含めたプラグアンドプレイも提供へ

 このようにプラグアンドプレイのOpenStack環境を提供するNeutrino Nodesでは、VMware vSphereや物理サーバの運用経験しかないITインフラ運用担当者でも、ビジネス部門やソフトウェア開発チームの開発環境やビッグデータ分析環境へのニーズに応えられるという。また、そもそもITインフラ運用担当者がいない環境でも使えるとしている。

 開発環境については、PaaS基盤ソフトウェア「Pivotal Cloud Foundry」をEMCがインストールするサービスをオプション提供する。また、OpenStackのMagnumを次回のEMCによるリリースに含める予定で、これによりDocker SwarmやKubernetesの導入を自動化できることになる。

 関連してEMCは「Native Hybrid Cloud」と名付けた製品を提供すると発表しているが、これはOpenStackの上にPivotal Cloud Foundry、その他の開発支援ツールをインストールした状態で提供する。

[取材協力:EMC]

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